カリフォルニア州バークレーにある新興企業、Dabbleは、マスマーケット向けのマイクロムービースタジオだ。
ユーザーが自分のビデオをオンラインで制作、リミックス、ブラウズ、オーガナイズできるサービスを提供している。
ニューヨーク、ブルックリン在住のアリン・クラムリー(Arin Crumley)とスーザン・ブース(Susan Buice)は、仕事を辞め、プールしておいた1万ドルと何枚ものクレジット・カードと賞品でもらったパナソニックDVX-100デジタルビデオカメラを持って友人のところに飛んできた。それが、はじまりだった。
彼らは、撮影方法など知らなかったし、カメラマンはカメラにくわしくなかった。そして、彼らは今まで演じたこともなかったのだ。
プロジェクトに1年を費やし、若きヒーローは、7枚のクレジット・カードを限度額まで使いきり、”Four Eyed Monsters”はユタ州パークシティで行なわれたスラムダンス(Slamdance Film Festival)に受け入れられた。
(注:スラムダンス(Slamdance Film Festival)は、サンダンス・フィルム・フェスティバル(Sundance Film Festival)の期間中に同じパークシティで行なわれている映画祭。低予算、初監督作品に特化した映画祭。)
それにより、音楽と映画の祭典South by Southwest、the Sonoma Valley Film Festival、Gen Artを含む18のフェスティバルに招待された。このことで、いくつもの賞と絶賛を受けた。だが、実際にはそれらの多忙なツアーは何ももたらさなかった。18のフェスティバルの後、彼らはまだFour Eyed Monstersを映画館で上映するための流通契約を結ぶ相手がいなかったのだ。彼らには、資金もなく、アクセスするためのパイプラインもなかった。
レコード会社は、もはやそこまで強力な存在ではなくなっている。なぜなら、アーティストが自分たちの音楽をファンに届けるための方法が、たくさん出てきたからだ。
ガース・ブルックス(Garth Brooks, アメリカの著名なカントリー歌手)は、アルバムをウォルマート・ストアズとそのウェブサイトだけの独占販売をしている。Radiohead(イギリスのロックバンド)とEMI傘下のCapitol labelとの契約が満期を迎えたが、新しいところとの契約を急いではいない。7月、Radioheadのボーカルトム・ヨーク(Thom Yorke)はソロアルバムThe Eraserを、独立系レーベル、XLレコーディングス(XL Recordings)からリリースした。アルバムは、AppleのiTunes Music Storeでプロモーションされ、Billboard200で2位を獲得した。
Ice Cubeは、ファン基盤をウェブに広げている。彼のアルバムをプッシュするためにプロモーション会社は、DJにリスナーがIce Cubeのシングルを彼のMySpaceのページで聞けると言わせるというプロモーションを実施し、Ice Cubeの“友達”は、2,000から150,000人に急上昇した。[12]
2005年、180億本のビデオがオンラインで流れていた。2004年から50%の上昇率だ。
YouTubeでは、毎日1億本のビデオが視聴され65,000本の新しいビデオ・クリップがアップロードされている。月のユニークユーザーは、2000万ユーザーというモンスターサイトだ。[13]
また、ネット界の巨人GoogleやYahooも同様にビデオのストリーミング・サイトを持っている。
AppleのiTunes Music Storeでは、1200万本のビデオ・クリップがそれぞれ1.99ドルで販売された。それもたった数ヶ月の間に、だ。
典型的には、音楽会社はアーティストの作ったレコードを所有している。なぜなら、彼らは生産、マーケティング、ディストリビューション(流通)のコストをすべて負担しているからだ。
しかし、Ice Cubeは、個人的に生産とマーケティングのコストを負担し、リスクを取ることにした。そうすることで、Ice Cubeは、自分の音楽を所有でき、アメリカにおける売上から上がる利益をすべて手に入れることができるからだ。
Ice Cubeのエージェントである、Beverly Hills management companyのCEO、ジェフ・クワティネッツ(Jeff kwatinetz)は、EMI傘下のVirginレーベルにIce Cubeの”Laugh Now, Cry Later”を流通してもらうことができた。
たしかに、それは経済的に大きなギャンブルだったが、報われた。”Laugh Now, Cry Later”は、6月のBillboard200で初登場4位を達成し、全世界で500,000枚の売上を達成した。そして、Ice Cubeは、アメリカにおける利益のすべてを手に入れることができた。(EMIは、流通手数料と海外ライセンス権を手に入れる。)クワティネッツは言う。「小切手がやってくる音が聞こえるよ。我々は、音楽をTV番組にライセンスしたし、映画にもライセンスした。そして、それはすべて彼のポケットに入ってくるんだからね。」
音楽会社は、アーティストと聴衆との門番だった。もし、ビデオをMTV(有名音楽専門番組)で流したいのなら、メジャーなレーベルが必要だった。もし、CDをTower Recordsでディスプレイされたいのなら、巨大なレコード会社が必要だった。
これらのブログは、ニュースのような速報性の強いものになっている。
このブログというかたちは、いわば新種のメディアとなっている。
TechCrunchのマイケル・アリントン(Michael Arrington)は、こう言っている。
『忠実なファンがコアとなって急速に成長し、関連分野のサービスも提供するようになったら、PopSugarのようなネットワークを競争相手にするのは大変手ごわい。古いスタイルのメディアではとてもたちうちできないほどコンテンツの制作費は安く、しかもはるかに速く提供される。(ここでいう「古いスタイルのメディア」にはCNetやWiredのようなインターネットメディアのパイオニアも含まれる)。昔はメディア企業を立ち上げるのは困難で、すでに存在する大手と競争するのは不可能だった。現在では、大手が困惑して取り残される番になっている。』[11]
低コスト体質と速報性。
このトピックの参考文献が、Business2.0のウェブ版、TechCrunchだということから見てもわかるように、非常に高い速報性は最新のホットなトピックをフォローするのにはもってこいなのだ。
つまり、月1回、週1回の発行は、質の高い、ある程度クオリティのフィルターがかかっている反面、タイムリーなものには弱いのだ。かつては、週1回でも、日に1回の新聞でもタイムリーだった。しかし、実際に、日に何回も訪れるビジターがいることからもわかるように、今やブログは、日に数回なのだ。毎日毎日、何回も号外を出していることと同じことなのだ。この速報性、この頻度に既存のメディアはついていけるだろうか。ついていけないとしたら、別の視点から差別化する必要があるだろう。